大きなダイニングテーブルのある家「素材と景色を楽しむ豊かな時間を過ごせる家」
敷地面積:460.28㎡
延床面積:164.64㎡
構造:木造在来(伝統的工法)
階数:2階建

施工:(株)数寄屋建設
設備:(有)尾崎設備
造園:緑風園 阿部源三郎

建築写真家:輿水進
家族構成は施主ご夫婦と娘さん、おばあちゃんの4人家族。佐野市街の住まいは交通の便が良く便利であったが、敷地を越境して建てた3階建ての狭小地。
退職後の終の住家は歳を取ったお父様のそばで今まで忙しくて出来なかった趣味などを楽しみながら悠々と暮らしたいという思いから、今まで住んできた家を離れ、奧様のご実家である土地に家を建てるという計画で設計依頼をお受けしました。
市街化調整区域で種目が宅地ではないことや規模から開発行為が必要であり、台形状に細い変形地で当初考えていた数社の依頼先候補では思うように家づくりが進まないという状況だったのを整理することから始めました。

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■外構、玄関
朝夕で建具の桟から差し込む明かりで表情が変わる
 
外構は開発行為に伴う造成のため、盆栽や植木などを適切な季節に抜いて造園で預かっていただきました。
軒表しの無垢材に、漆喰の外観。内部のリビングから視界が繋がるよう、内庭にデッキを設けています。
竣工後、時期を見て造園計画した通りに植栽を戻しました。
 
■ダイニング・キッチン、居間、書斎、浴室・家事コーナー 
吹き抜けに面する側にペレットストーブを設け、各部屋を壁で完全に仕切ることをせず、扉を介して動線を繋げ、回遊できる間取りとしました。
■吹抜け、廊下、老人室(客間)
L型に配置した老人室を内庭を介して家族が集まるプライベートリビングから眺めることができます。また、リビングから張り出したデッキは家族のコミュニケーションの場として考えています。
キッチンからは別棟に住んで居るお父様のご様子を、リビングからは同居されているお母様のご様子を常に確認できます。
■寝室・化粧コーナー・素材
主寝室と隣接して小屋裏収納付ウォークインクローゼット(納戸)を配置しました。
吹き抜けに面する渡り廊下には化粧室・物干しスペースを設けています。
設計ポイント
◆人が集まる場と各個室の動線に配慮
実家の庭先を通り南北に細長く延びる変形地。吹抜けに大開口を設け、南面に拓けた庭から通風と採光を各室内に取り込みました。茶の間感覚での利用を考えた玄関、食堂では人が集い、団欒の時を持てる様、希望のテーブルを基準に考えました。食堂を中心に台所濯・洗面室、家族便所、個室へと回遊できる間取りに。部屋を造付収納家具で間仕切ることや、屋根勾配の下部を利用することで比較的多くの収納スペースを確保しています
無垢の桧・杉・松を主体構造に壁は漆喰。建具や家具の殆を造作とし、床の間は天然の楓。アイアンにいたるまで手作りです。
季節の移り変わりや素材の持つ温かさを肌で感じる事ができるよう開口部から見えるものを大切に。美しいものを美しく、温かみのあるものを温かく感じる事が出来る五感に訴えかけるような空間づくりを大切に計画しました。
建て主の希望

老後の暮らしを丁寧に豊かに過ごす住まい

関東平野最北端に位置する足利市は織姫神社や鑁阿寺など歴史建造物が多く残る街。日光連山へ続く山並を眺望できるこの地での暮らしを望むご夫婦は結婚を控えたお子さんとお母様の4人家族。数年後に退職を控え、其々の親を見守る思いもあり、奥様の実家の土地に相談から2年の歳月をかけて建てました。

理想は食卓での団欒や家庭菜園、読書や音楽を楽しむ暮らし。日常の喧騒から解放され、穏やかに過ごす「晴耕雨読」の暮らし。

木の温かさが大好きなご一家は木材の経年変化も楽しめる住まいをご希望されました

竣工後
 
竣工から4年。色艶に深みが増した手刻みの材木が、庭の景色と共に周囲の梅林や竹林と馴染んでいます。吹き抜けにはロッキングチェアが置かれ、読書や編み物を楽しんでいるご様子。菜園で採れた野菜やストーブで温めた食材が食卓を囲み、ご主人の煎れた珈琲の香りが漂います。
 
   
図面作成と並行し、軸組み模型・イメージ模型を作製し建設会社に持参しました。
開発行為から上棟、竣工まで▶
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