■古民家改修工事〜再生・改修までの手順〜
 
 
 
◆ここで掲載している画像は、ほんの一部の図面です。
既存を調査する場合、各所の納まりや建具、枠の寸法に至るまで全てを採寸し図面にします。
◆現地調査
古民家の場合、どうしても残さなければならない事情がある場合を除き再生するか、補修を行ってリフォームするか、建替えするのかという事に悩まれているケースが多くあります。
先ずは、古民家が建っている地盤の状況、周りの環境、目視での材の状態などを把握するところから始まります。
また、構造体の補修が必要である場合はどの程度のことが可能性として必要になるのかを検討する為にも小屋裏や床下などに入り調査する必要が出てきます。
増築などで見えない部分は、壁を一部剥がして確認することも後に追加工事をなるべく出さないように計画することに関係してきます。当事務所は必要に応じて構造設計者や施行者(職人)に協力を求め、正確な判断ができるような体制を組んでいます。
◆既存図の作成
平面図・立面図・断面図・矩計図・基礎伏図・軸組図・小屋伏図・仕上表・建具表を必要に応じ、調査した結果に基づいて上記画像(一部事例)のように一度現地で手書きで起こしたものをCADに入力し、A3〜A1の用紙に既存図として描きます。
こうした既存の建物を再生・改修する場合は新築よりも倍の手間がかかります。
特に既存構造体の部分は図面として残しておかないと、工事に入った際に必要だった柱や梁を欠いてしまうようなことにもつながりかねません。設備や電気配管なども増設などでごった返していることも多く、漏電などの危険な状態で住んでいることも少なくはありません。しっかりと現場監理をする為にも現地での調査に基づいた図面は大切なものです。
◆現場監理
この場合の現場監理とは既存図面、新規図面に基づき、きちんとした工事が行われているかどうか確認することです。
但し、既存建物の場合は、どんなに手をかけて事前の調査を行ったとしても既存の材で見ることが出来なかった部分に不具合や劣化を生じていることがあります。その場合は、図面に記載されて居なかった場合でも一度、発注者に相談したうえで補修方法などを現場で職人などの技術者と一緒に検討していくことが出てきます。
後から生じた補修については追加工事とならざるを得ない場合が出てきますので、資金計画も当初の建築費用より多めに見ておいたほうが良いでしょう。
部分改修よりも構造体を含めた全体改修の際にそのような選択が必要になってくるケースが多いものです。また、住宅ローンなどを組んでいる場合は図面などの再提出が必要になってきますが、設計者のほうでこれらのことは行います。
減税制度や補助金などもケースによっては利用できます。

耐震性やその他の性能等を考えた時、全体の改修を行うのであれば新築したほうが手間もかからず、工事費も安いという事になることもあります。ですが、長く住まわれた家は家族の思いなども強いものです。
あと何年残したいか、どの程度で満足するのかなどで工事費もお金のかけかたも違って来ます。
残したいという強い気持ちが無いと思い切った改修はできないと思って頂いたほうが良いと思います。
設計者側でも、週3度以上、現場の監理を終日行うことになる可能性があるのが古民家の再生です。その甲斐あって出来上がりは満足されることが多いと思います。
 
 
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