雲南省(昆明〜シーサンパンナ)=Kuming shi,Yunnan,China=
雲南風味キッチンきららの設計をご依頼されてから5年。開店当時からいつかご自身の育った町に来てほしいということで、今回その機会に恵まれましたので行って参りました。
雲南という地を知らないままに、本とお施主さんから聞いた知識だけでお店を設計しましたが、聞くのと見るのとでは多少なりとも違いがあります。お母様やご親戚にもお会いし、有意義な時間を過ごすことができ、このような機会をいただいたお施主さんに感謝します。雲南省には現在イー族、ハニ族、タイ族、ミャオ族、ペー族など25種の少数民族が住んで居ると云われて居ます。
10月9日
昆明空港でいきなり標高が2160Mと聞いていたので、その週の前に登山で慣らし、効き目があるのかわからない酸素入りの水を空港で買いました。成田から上海経由で昆明へ。
移動時間10時間。上海で購入した天然水のパッケージが可愛かったので写真を撮ってみました。
夜10時のお夜食は米麺。迎えにきてくださった輝さんと李さんと。李さんに食べ方を教わります。
ホテルの内装を撮影するのは仕事を兼ねた趣味。素材やプランニングの参考にしています。かつて花梨や紫檀が多く採れた街、ヨーロッパ調の家具も無垢材でしっかり作ってあります。北京や上海では日本と同じく張りぼてな家具が最近では多いですが、ここでは床材までまでもが紫檀の無垢板などで、壁は布クロス、板張りなどです。見た目も重厚感があり、洋館を感じさせさせるものです。装飾を施したものは、シノワズリを思い出させます。刃物も硬い材を加工するのですから、違うのは当然ですが、未だにこうしたものを作ることができる職人さんが居るのですね。

10月10日
陶磁器の町建水へ。日本などに焼きものが伝わったのはこの地が原点だと云われて居ます。陶芸会館で地元の協会の方や、陶芸家のランさんと交流。ちょうど「菌糸(きのこ)料理」の季節で地の物の松茸とその他のきのこと山菜三昧。日本のものとは香りが違いますが、松茸が豊富だということは、松が多いということです。
古い石材や建具を利用して建築している現場。構造材は鉄骨と松材。軒先の跳ね上がりのラインは職人さんは普通に造っていますが、実はこの技術は大変難しいとのことです。松は脂がでたり、あばれたりと扱いにくい材ですが、強度はあります。
日本では、宮大工も昔から伝わる型から採寸して刻むそうですが、昆明で出会った職人さん達はこうした作業から、家具・建具の製作建付けまで木に関するものであれば、ひとりひとりが全て行います。
写真の規模で施工期間が3カ月。人数も多いですが、すべてが手作業で、今まで私が中国で見てきた作業員とは違います。黙々と働いています。周辺にこれだけの鉋屑が出ているということは相当な仕事量だということです。
硬い材を刻み、細かい細工まで施し、手斧や鉋、蚤などを器用に遣う様子が、技術レベルの高さを表しています。
昔の伝統を今に引き継ぐ人達がこの地に残っているようです


 10月11日
鶏料理専門のお店で昼食。黄色い濁りがあるのは、鶏の頭から足までまるごと煮込んだもので、調味料はニンニク、ショウガ、トウガラシのみ。鳥から出る脂と出汁とで充分です。ご飯にかけていただいてみました。
お豆腐の他に、菜っ葉のスープがでてきました。私が食べ慣れているかき菜と非常に似たようなお野菜です。お施主さんのご親戚(お姉さん)の手作り料理でお夕飯。山栗、姫竹の中にもち米を包んだちまき、蕨などの山菜など。虫に見えるのは「竹の中に生息する虫」を揚げたもので、シーサンパンナでは各家庭で、料理店でも日常的に食べられて居るモノらしいです。
マオさんのお茶摘みを見せていただくために、山奧へ。昆明でお会いした大学の先生には標高が高いので少しきついのでは?とご心配いただきましたが、普通に体を動かしても特に問題は無かったので、高山病にはかからない体質のようです。途中、木の実をもぎながらお茶の木が自生しているところに向かいますが、実を食べることで毒消しにもなるようです。この季節、茶毒蛾の幼虫が沢山居ましたが、かぶれることはありませんでした。
お茶摘み後、茶葉をプーアール茶として加工する作業を見ました。ここでもすべてが手作業です。

 
 10月12日
茶畑から少し下った村で、ホテルに宿泊。この日の朝も米麺です。場所により、トッピングの具材も麺も変わります。
ドクダミを刻んだものが美味しいとのことで、いただいてみました。
この村には代々、醤油を作る人達がいるとのことで小学校へ。屋上には甕がたくさん並んで居ます。学校の教師の話によると、3年天日で大豆を醗酵させないと食べられるようにはならないとのこと。発酵した大豆を口にすると酸味があり、「浜納豆(愛知)」と同じ味。徳川家康が好んで食べたと伝わっている浜納豆の原点かもしれませんね。
民家は石場建ての造りに壁は土の素焼きを積み上げたレンガ造。室内は木の板で覆い、着色されています。犬や猫、家畜は基本、放し飼いになっています。お婆さんの家では、ペットとして飼われている鶏を見かけました。
陶芸の大学では、ひとつ作品を作ってみることに。「プーアール茶がたくさん飲めるようなポットです。」と仰る松尾さん。松尾さんは、白酒を毎晩一気飲み。お酒が強い中国の方達とも打ち解けていました。
行く途中、切っても切っても枯れない木という木をお施主さんの輝さんから教わりました。幹の中に水が豊富なのでしょう。ランなどの宿り木が絡みついています。幹を折ると、水が湧き出てくるとか。再生する力が強く、枯れることが無いそうです。

陶芸家松尾さんからは茶香炉と湯呑のプレゼント。
プーアル茶葉を香炉に乗せると良い香りが茶坊に広がりました。
 
 10月13日・14日
マオさんにプーアール茶をご馳走になったお礼でお抹茶を点てました。
翌日は、タイ族の住居を訪ね、生活に使う器の製作は女性の仕事だということを教えていただきました。おじいさんが削っているのは陶器の粘土を成形する叩き棒。貴重な紫檀の木です。
茶人を訪ね、クスノキのテーブルを発見。とても珍しい珠目でこのようなものは値段が付けられないほどだとか(画像を送り、職人さんに聞いてみました。)日本では昭和初期に一度入ってきたものの、それ以来入って来て居ないとのこと。昔、中国からは紫檀や花梨、楠などの銘木が輸入されていたとのことですが、途端に入らなくなったとのこと。
中国国内でも充分な需要があること、かえって国外に出したほうが手元に残るお金としては少なくなってしまうということからのようです。「高くても、本物で良いものを」という思考が現代の若い人の中にはありませんので需要が減った為だと思います。
ゴムの木を植林した山を超え、白酒(アルコール度数56℃〜60℃)を作る民族の方を訪ねました。この日は小雨。
雨が降ると村の人達は仕事になりませんので、朝から夜までずっと食べて呑んでということらしいです。ゴムの木は地下水を沢山吸い上げるため、周辺を砂漠化させるため、シーサンパンナの原生林を保護していくうえで問題になっているようです。この辺りは本来は亜熱帯気候。
徐々に気候が変わってきているようですが、世界でも貴重な原生林を失うと地球全体の環境破壊に繋がります。
政府も気が付き、今は制限をかけているそうですが、ゴムの木で生計を立てた村人が殆どですので環境破壊が進まないようにしながら村の人達が働ける場所ができればいいですね。
白酒はトウモロコシを醗酵させるそうです。アルコール度数が高いのはこの地に伝わる料理と関係があるようです。牛の内臓を潰した生の物を香草とニンニク、唐辛子を加えてペースト状にしたものをそのままいただきます。少し離れたところには珈琲豆の木が自生しています。
雲南省はスターバックスでご存知の方もいらっしゃると思いますが、珈琲豆の産地で知られて居ます。雲南省では、野菜など日本と食べるモノがあまり変わりないのですが、畑とかではなく、トウモロコシも自生しているものを採って現地の民族の方は食べているということに興味を持ちました。栽培された農薬をかけたものは地元では食べられてないのです。タイ族の方が、蒸したトウモロコシはもちっとした歯触り。これはこの民族にしか出せない食感だそうです。
陶器でさえ、体に害があるからと釉をかけたものは使用して居ません。中国では農薬や薬品などを多く食品などに使用するというイメージがありましたが、今回でそれが全て覆りました。
やはり、輸入に頼らず、自国で生産・製造する力があることは大切なことだと思いました。
5日目
少し体調を崩し、おかゆやスープなど軽いものをいただきました。
 
 松尾さん帰国。この後の日程は木材や家具屋さんめぐり。ハワイ島での時差ボケ以来、かつて一度も体調を崩したことはありませんでしたが、連日の早朝遅夜で、仕事も持っていた為、5日目以降から少し体調を崩しました。
 
 10月15日・16日
家具屋さんが大きな幹線道路沿いに軒を連ねています。家具になる前の板状のものや、加工工場を見せていただきました。
ここでも沢山の作業人が居ますが、全てが手加工。硬い材質が故か、木の形を生かしたテーブルも多くありました。私に設計をご依頼されるお施主さんの殆どが、本物(無垢材)がお好きな方ばかりですから今回見てきた建具や家具がお好きでしょう。
建水で見た800年前の建具は花を模った細工や組子で、女性が好むデザインだと思います。
高速道路の動物注意の看板は象などの絵が書かれて居ますが、時々、道路を横断する象を見ることができるそうです!
原生林の中には様々な果物の成る木や珈琲豆の木。少し行くと、標高が徐々に高くなる部分もあり、雲が手に取れるような感覚で近くに感じます。人の手によってつくられた茶畑や、棚田も見ることができました。
メコン川を見ながら昆明に戻り、お施主さんの仕事に付き合い、珈琲専門店でジャコウネコを介して採った珈琲豆で珈琲を淹れていただきました。こちらでは、建水の陶芸会館と同じく、花を活けてくださいとの希望がありましたので花瓶に花を活けました。
体調を気遣ってくださる輝さんから棗やピーナッツをいただく。ザクロやドラゴンフルーツなどの果物。体に元気がない時に良いそうです。
 
 10月17日〜18日
昆明の街並みは、老朽化した建造物を壊し、レンガや建具など使えるものを再利用して建てられています。伝統的な建造物は木造3階建て。柱と梁を繋ぐものは木製建具。それでも中国の歴史の中で数百年持ちこたえてきました。やはり、木と石と土にかなうものは無いと認識しました。
名物は冷めることの無いスープに生の具材を次々に入れ、最後に自家製麺を入れてかき混ぜていただく米麺。橋を渡って毎晩夫の元に手料理の夕食を届ける妻が、暖かいスープを夫に食べさせたいという思いから、冷めないスープを考案したことが始まりです。夫婦の愛情を感じますね。お夕飯は李さんの会社の社員でご友人であるYOYOさんの家で手料理をご馳走になりました。上海蟹の季節。白いご飯に混ぜて食べると美味しいと教えていただきました。奧様がつくるスープは薬膳。体が温まります。お二人は新婚さんで家事も分担。優しい旦那様です。YOYOさんにもすっかりお世話になりました。
古茶道を習っているという奥様と、話も合い、お抹茶を飲んだ感想は「喉がすっきりする感じがして美味しくいただきました」とのこと。いただいた古茶は、雨の日の木の根元の香り。日本人にはこの香りが受け入れられ難いのでは?ということでしたが、私は香りの高い木の薫りがして美味しくいただきました。
中国でも、今は結婚の条件に「共働き」というキーワードが入るということを大学の先生からお聞きしました。昔の日本のようにご年配者を大切にする習慣のある中国も少しづつ時代の流れで親の介護などをどうするか?ということもこれから出てくるのだと思います。
 
帰国後、飛行機の中で知り合ったリュウさんと日本で留学している息子さんと。
 【プーアル茶の原生林を訪ねて】
シーサンパンナの奥地には樹齢80年〜1000年を超える高木のお茶の木が自生しています。
茶摘みをする家に生まれ育ったマオさんは子供の頃から山に入り、お茶の葉と接してきました。時には命綱をかけて新芽を積むということもあるという大変な作業です。
一般に国外に出回るものは人工に作られた茶畑で採れた茶葉との配合になっているとのことで、天然の
木から摘んだ茶葉100%のプーアル茶は貴重だということです。
今回は、シーサンパンナ生まれ少数民族出身のお施主さん(輝さん)とマオさんと原生林の中に入り、茶摘みをする機会がありました。本来のプーアール茶の美味しさを知ってもらいたいと思うマオさんの気持ちは自然保護を心に留めながら、本当にお茶を愛し、自然を愛する人の元に届いて欲しいとのことでした。
そんな貴重な茶葉を皆さんにも飲んでいただきたく、お分けする準備をしました。
☆プーアール茶生茶についてのリンクはこちらから。
 
 雲南省昆明の食事(きのこや山菜が豊富で、スープにしたり、炒めたり。毎日が彩豊かな食卓です)
 
 茶摘みとマオさんの茶房で
 

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